2020年01月28日
現代の矯正治療の問題点
ブログ

しかし一般的な矯正治療は、メリットだけでなく、数多くのデメリットを抱えていることもまた事実です。昨今の矯正治療に潜む問題点をいくつかご紹介しますので、より良い治療のために役立てていただければと思います。
目次
日常生活に影響が及ぶ問題点
食事制限
矯正治療と言えば、何より食事制限によるストレスを感じる方が多いのではないでしょうか。嚙み合わせの変化や器具装着による痛みなどが原因で、通常の食事をとることが困難になるケースは多く見られます。
矯正治療継続へのモチベーション低下、また栄養不足や咀嚼回数減少による消化不良など、その影響は意外と大きいものです。
成人でも毎日の栄養補給は大切です。更に、成長期のお子さんにとって歯並びは大切ですが、もっと大切なのはからだ作りです。免疫力の強い健康な体になるには成長期に食事制限や好き嫌いがあっては困ります。楽しく食事をする事は精神的な安定にも大切な役目をします。食事と矯正治療のメリハリが大切です。
外見からくる自信喪失
10年間で延べ2,000人以上の方と矯正相談をおこないました。子供さんの相談や本人様の相談など直接お会いして相談する場合や間接的に御友人、御親戚の相談を受ける事もありました。
一番、印象に残っているのはブラケットを付けて学校に行くのが嫌だったと強く主張するお母さんです。思春期の女性にとってはとても辛い思い出になる様です。
虫歯・歯周病のリスク増大
矯正装置を着けている間はどうしても歯磨きがしにくく、ご自身で器具に付着した食べかすを完全に除去するのは難しく、食べかすが原因で虫歯や歯周病に繋がってしまうことがあります。矯正中に虫歯が見つかると装置を一旦外すので手間が増えます、口内環境を清潔に保つことを普段以上に心がけなければいけません。
最近の研究の一つに、口腔内のみで出来る特有のバクテリア(歯周病の原因)が心筋梗塞の心臓や脳などから発見されています。不潔なお口で発生したバクテリアが小腸で吸収されたことを意味します。バクテリアは一定の条件下で人体に有毒な毒素を萌出しますので不潔なお口は全身にも悪影響を及ぼすとゆうことです。
歯科矯正の有無にかかわらず口腔内は何時も清潔に保つ必要があります。医院で適切なブラッシング指導を受けたうえで日々の歯磨きをしっかり行い、定期的にメンテナンスに通うことを推奨します。
過度の矯正
頭部を固定源にする矯正装置や急速で過激な矯正装置を用いることは絶対に避けなければなりません。人の成長のピークには個人差がありますが細胞が生まれて死んでいくリモデリングの機序は全て同じです、大きな力を組織(上あごの骨)にかけて治療を早めようとしても組織の破壊を生むばかりで再生は起こりません。緩徐的な矯正力をより効果的に利用する治療法をお勧めします。
また、お口の外に付ける装置は怪我をする危険性があるほか、人工的な過度の矯正力が外見を更に悪化して矯正治療の断念につながる事もあります。夏の暑い時期は辛くてはめられません、結局途中でやめてしまうので挫折感がのこるだけです。
そのような過度の矯正を医師から無理に勧められた場合は、セカンドオピニオンを受けることも視野に入れた方が良いです。医師と正しくコミュニケーションをとりながら、無理のない最適な治療計画のもとで矯正を行いましょう。
治療計画における問題点
歯の削除・抜歯
矯正に限らず、審美歯科治療のために天然の歯を削ったり抜いたりすること自体は珍しくありませんが、これにももちろんデメリットが存在します。歯の削除は限定的なものであれば問題は少ないと思います。
抜歯は全体的な噛む力の低下と咀嚼率が下がります、また抜いた歯の周りの組織が吸収しますのでお口全体のボリュームが減るので舌の可動域が小さくなってしまいます。前歯がより舌に近づくのでまた出っ歯になることもあります。
抜いた歯のスペースが大きすぎて空隙が残る事もあります。歯の移動スペースを設けるために抜いた場合は、その移動距離が大きければ大きいほど治療期間が長引くことになります。メリットばかりを追い求めて安易に削除・抜歯することなく、先のことも見据えて慎重に治療計画を立てなければなりません。
しかし、成人の方の歯列矯正はどうしても歯の削除と抜歯は避けられません。リスクは出来るだけ小さくしたいです。
最適な矯正治療のために
歯は一生ものとよく言いますが実にその通りで、歯の健康状態が人生に及ぼす影響というのは非常に大きなものです。つらい思いをしたことで治療の継続を諦め、後悔の念を抱えてしまう患者様は決して少なくありません。
歯科医師は上記を一例とするさまざまなデメリットを患者様に正しく説明したうえで、不安なくご納得いただけるよう、治療のみならずコミュニケーションにも尽力していくことが欠かせません。
最適な矯正治療を行って美しい歯列を手に入れるために、患者様ご自身でも、各種情報収集などに取り組まれることをおすすめいたします。